LISTEN
数年前、本屋で、ある本が目に止まりました。
その表紙は深緑色で、金色の文字で「LISTEN」と書かれていました。
その佇まいになんとなく惹かれて、手に取りました。
『聞くこと』
それは、シンプルであって、難しい。
その『聞くこと』の内容は、私の人生のあの時『そうだったのか!」という気づきで詰まっていたのです。

本当に聞いてもらえることは、奇跡のように、嬉しい。だから、本当に話を聞けるようになりたい。
まず大きな気づきのひとつは、『返答のズレ』についての話でした。
相手が話したこととは、同じ物事の内容でも、少しズレた返答をしてしまいがち、という話でした。
聞いたものが自分の視点へと変換されていくのです。
同じ『ような』自分の経験談や感想を言ってしまいがちです。
それは、相手の聞いて欲しいこととは少しズレているのです。
この話は、自分の悲しい経験談に結びついたのです。
話すことが得意でない私は、どうして伝えたいことを話す時、すごく勇気が入りました。
そして、勇気を振り絞って、ようやく話し始めることがありました。
そういう時に、なぜか、だんだん相手の話に変わっていくことを感じました。
なぜか、相手の視点や物差しからの話になっていきました。
そうして、聞いてもらえなかった、という釈然としない気持ちになることがよくあったのです。
どうしても伝えたかった気持ちがあった時こそ、その気持ちを強く感じたのでしょう。
なんだか、私の話に興味を持ってもらえなかった、という深い悲しみを得ました。
その正体は、この『返答のズレ』だったんだと気付いたのです。
そして、自分も、このズレを引き起こしているかもしれない、と反省しました。
いかに人間が自分の目線でしか世界を見れていないのかということを気付かされたのです。
聞くことは、簡単じゃない。
そのほかにも、
人の話を聞きながら、次、自分が話すことを考えている。
相手の言っていることがよく分からなくても、詳しく質問することをせず、聞き流してしまう。
というように、『相手の話』に心から興味を持って、真剣に聞けていないことが多いようです。
ちゃんと『聞くこと』を、人間は、なかなかできていない現実。
そのために、人々は、ちゃんと『聞いてもらえた』という経験に飢えているということに気付かされました。
私たちは、真剣に自分の話を聞いてもらえない世界で、いつも、小さな悲しみを抱えているような気がしました。
この本の中で、本当に自分に興味関心を持って、真剣に『聞いてもらえた』という経験をした人々が、心を開きます。
ちゃんと『聞いてもらえた』時、人の心はどれだけ救われるのだろうと、感じました。
そして、丁寧に言葉を受け取りたい。
『内向型』は咄嗟の判断、瞬発的な反応が苦手です。
頭の中で、じっくり考えて、言葉を紡ぐので、雑談の中では置いていかれます。
即興は苦手ですが、準備をしてから挑むものは得意です。
1対1の会話の方が心地よいです。
だから、不器用ながらも、ゆっくり、じっくり話を聞くことは、できるかもしれません。
その中で、無言の時間が流れることも大切にしたいです。(それは相手の思考の時間です。)
相手の話を、心から聞けるようになりたいと、思います。
忙しい生活の中で、
情報の多い社会の中で、聞く時間がないこともあります。
伝えるタイミングが見つけられないこともあります。
そういう時は、書きたいと思います。
『書き言葉』を丁寧に届けたい。
そして、『書き言葉』を丁寧に受け取りたい。
そんな時間も大切にしたいと思うのです。